2006_kodama_01

前回の『ジシュクすれどもイシュクせず』から約3ヶ月が経った。

この間、執筆をジシュクしていたわけではなくイシュクしていたわけでもない。この間の想定を遙かに超えるあまりもの世の中の歴史的激動に、もの書きできるまで頭の中が整理できなかった、というのが率直なところである。というのは言い訳である。

ところでよく勘違いされるが、私の稼業はイベント屋さんや地方タレントもどきではなく、多少目立ちたがりとの評価が安定している自転車屋である(笑)。
仕事場デスクの目の前では会社のピラミッドの頂点でなぜか社長(私)の上に君臨する87歳の専務(母親)が依然としてフルタイム勤務で私がサボリはしないかと見張っている。

まぁそれはいいとして、この自転車屋も飲食業の皆さんまでの厳しさではないとは言え、ご多分に漏れず見事に新型コロナの影響に見舞われた。3月から4月のコロナのピークの時期はまさしく自転車業界用語でいう「春需」という最需要期で、この2ヶ月で年間の約35%を売り上げる。もちろんメインは通学車需要なので、本来減りようが無い需要であり、新型コロナで騒がしくなり始めたときの一番の懸念は中国の工場操業停止で危ぶまれた商品の確保であった。
ところが新型コロナによる自粛ムードがさらに強まった3月から緊急事態宣言が発令された4月にかけて、例年あるはずの需要が途中でストップ。ここで売上を溜め込んで一年間を生きながらえる業界なのに、それこそ「緊急事態」であった。
もちろん周りが言うように、新学期の開始が不透明で消費行動がある程度フリーズしたのは理解できる。ただ、どうも本質的理由はソコではない、と個人的には分析していた。

5月に入って業界関係者から情報を集めてみると、やはり予想通りだった。
今年の「春需」で唯一業績を伸ばしているのはネット販売専門業者、もしくは資本力のある全国チェーンでネット販売のスキームを確立している会社であった。
「自転車でネット販売?」と思う方もおられると思うが、実は十年以上前から自転車のネット販売の市場はそれなりに存在する。弊社も走りの時には少しカジったものの、これは配送コストの問題や激しい価格競争、クレーム対応諸々、大消費地に近い方が圧倒的に有利であり、中途半端に深入りするのは危険と判断し、早々に一旦区切りをつけていた。
実際ネット販売を手がけていた地方の自転車店は徐々に撤退していき、現在は(全てではないものの)安物の商品を高級に見せかけて売るネット販売専門業者(整備が酷いものが多く驚きます))や、資本力がありしっかりとスキームを構築できた大手全国チェーン店が取り組むカテゴリーとなっていた。

しかし、このコロナという人類未体験の有事に直面し、市民は「三密」を避ける行動が求められ、店側はなんとか安心して来店頂けるようできる限りの店舗対応を施した。しかし結果的に自転車というジャンルにおいても、本来対面販売でしか買わない需要ですらネット販売に一定割合流れるという状況に至ったのである。これまで必ずしも是ではなかった業界のネット販売がコロナ下の社会の要請にマッチしたのだ。
コロナ下では、100の需要があれば少なくともそのうちの20%前後は店舗に行っての購入に抵抗を持つ方は必ず存在する。たとえアフターコロナとなっても「新しい生活様式」 の下、この傾向は劇的に縮小すること無くひとつのスタンダードになるのだろう。

この状況は悲観するのではなく、冷静に客観的に捉えなければならない。
これまでのネット販売は、地域を超えてボーダレスな情報発信をすることで、グローバルな展開を可能にする新しい世界であったと思う。しかし今回のコロナ禍で気がついたことは、地方ならではのローカルな、地域限定的な形に活路を見出すことも、地方でネットと関わるうえでの、これからのひとつのあり方ではないかと考えている。
幸い5月以降、急速に売上は回復しているものの、アフターコロナにおける弊社のあるべき姿を見据え、新しい形のネット販売を含め、今やるべきことを徹底して進め、準備することを怠ってはならないと肝に銘じている。

第4回  コロナの先に見えるモノ  #02」へ続く

profile

kenmei
児玉けんめい
本名・児玉憲明(こだま・のりあき)。大分雄城台高校から中央大学法学部卒業後、生命保険会社に内勤総合職として入社。15年の転勤族生活後、1999年に家業承継のため大分に帰る。現在サイクルショップコダマ代表取締役。 サンサン通り商店街振興組合理事長、大型店と商店街とで大分市中心街の販促に取り組む「おおいた都心まちづくり委員会」企画委員長 として街の賑わいづくりに奔走。 ガレリア竹町ドームでの『こたつdeポン!』『令和カウントダウンイベント』などの企画立案。
【出演中メディア】
OBSテレビ『おはようナイスキャッチ』レギュラーコメンテーター
OBSラジオ『当たって砕けろ!名人と助手のとことんまち歩き』レギュラー
OBSラジオ『オギデン』レギュラー
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