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昨年から担当させていただいたこのコラムも今回が最終回です。
最終回に相応しく、まずはトリニータの嬉しいニュースから!
シーズン前半戦を首位で折り返したものの、その後夏場に苦戦を強いられ一時順位を大きく落としましたが、終盤に来て再び昇格争いができる位置に立ちました。監督・選手の頑張りに拍手したいと思います。
本当の勝負はまさにこれからです。上位直接対決も残っていますから全く気が抜けません。ホームゲームは2試合と少なくなりましたが、ぜひ皆さんの熱い声援をお願いします。また、アウェイゲームにつきましても、各所で観戦会などを企画していきますのでご参加ください。
みなさんと一緒に「J1昇格」をつかみ取りたいと思っています。

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「働き方改革」の真の目的とは

このコラムでは、私の考える「働き方改革」を様々な角度から記してきました。私は、「働き方改革」の真の目的とは、「個人のイキイキとした活躍」であり、それによる「組織・企業の成長」。その結果として「地域社会・経済の発展」がもたらされると考えます。
「改革」は決して全破壊ではありません。何かを壊そうとすると、それに対する抵抗や反発が必ず伴います。従って、これからの改革は、「温故知新」=「古くからあるものを徹底的に追求・進化・発展させる」こと。同時に「新しいものに迷わず挑戦・導入・定着させる精神」が重要なのだと考えます。
大分トリニータは、「言うは易く、行うは難し」と思われることに、チャレンジしていきます。最終回の総まとめとして、これまで紹介してきたものも含め、大分トリニータの更なる取り組みをご紹介します

読書会に社会学的な要素も取り入れていきます。
 学びの習慣を定着させていくことを目的に、春から始めた読書会も10回目を迎えました。参加メンバーの議論も徐々に深まってきています。マーケティングやマネジメントなどビジネス寄りの書籍に加え、少し社会学的な要素も取り入れた書籍も取り入れようと考えています。そこで次に取り上げる書籍は、以下の2冊にしました。

『大分学・大分楽』(明石書店)
『未来年表 人口減少日本でこれから起きること』(講談社 現代新書)

前者で大分県の歴史・地理・文化をきちんと学ぶ機会を作り、後者でこれから日本に起きるであろう社会問題についてデータを基に真正面から考える場を設けます。懐かしがるためでもなく、不安になるためでもなく、私たちがこれからどのように社会に働きかけていくかを考える機会を創出するのです。
読書会は「未来を考えるための基礎訓練」として、継続していきたいと思います。

毎朝の掃除・社内美化を推進していきます。
 古くから言われる「5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)」は、簡単で当たり前のことのように思われますが、極めていくのはなかなか難しいものです。
「惰性」ではなく本当の「習慣」になるまで、続けていきます。

新しいコミュニケーション・ツールの利用を促進します。
 「チャットワーク」や「slack」といった新しいツールの活用は、メールに比べて圧倒的に時間が短縮され、フラットな情報共有が可能になります。
メール処理に多大な時間を割いているビジネスマンの方も多いでしょう。新しいツールの導入は、「見た?」「いや、読んでない…」といったコミュニケーション・ロスもなくすことが可能です。俗に言う“昭和世代”がこのツールを使いこなせれば、鬼に金棒です。

社内教育を強化していきます。
 重要だと分かっていても、日常業務の多忙さや予算的な限界を理由に、後回しになりがちなのが人材教育です。
しかし、人材教育は「コスト」ではなく「投資」です。企業成長の最大の源であり、この予算の最大化こそが、未来への成長を可能にすると確信します。

外部の人材を登用していきます。
「自社が求める専門知識を持つ人をなかなか採用できない」「地方に転職してくる人はそうそういない」「大企業と比較して給与水準が追いつかない」等々、人的パワー・アップにブレーキをかける要因は様々あります。大分トリニータでは、これら障壁を乗り越えていく取り組みを実践していきます。
そのひとつとして考えられる方策が「複業の許可」です。
首都圏では複業OKの企業もかなり増えてきました。特にIT業界では、いち早くその流れが進んでいます。また、アウトソーシングもかなり幅広い分野で活用できるようになりました。このように自社で足りない部分を補うことが以前に比べて容易になっている昨今、この機会を逃す手はありません。
可能であれば大分トリニータも複業を認め、促進し、社外に視野を広めることで自己成長ができる環境を創りたいと思います。同時に複業でのスペシャリストを受け入れ、大分トリニータの成長に貢献してもらうことを期待します。

ローカル&グローカル的発想で生産性向上に取り組みます。
 地域密着型の営業・サービスを強化していくのと同時に、その商圏を外部に広げていくことは必須課題です。その一方で、コスト削減の観点からも「仕事を切り分ける」ことは重要です。「大分でしかできない仕事」「大分ではできない仕事」「大分でやる必要のない仕事」を整理・区分けすることは、その方策のひとつです。今年スタートした東京事務所の強化も推進していきます。
また、これらの推進をサポートするのが「ITツールの活用」です。地方企業のハンデと思われていた課題も、ITツールにより多くの部分で解決が可能になってきました。東京-大分の連携を強化し、有機的な組織づくりを実現していきます。

これまで不可能と思われてきたことを、可能にできるチャンスは目の前にあります。
大分トリニータの働き方改革は、これからも続きます。

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私は、人材業界において30年以上「企業経営と働き方」について取り組んできました。
大分トリニータとご縁をいただいて、「地方における働き方改革」というテーマでも深く考える機会を頂いています。やれること、やりたいことが、山積です。
10年後、あるいは30年後に、大分県がどんな社会・経済環境になっているのか。
大分トリニータがどこまで羽ばたけているのか。
本当に楽しみです。

これからも、微力ながら社会と地域の活性化に役立てるよう努力してまいります。
引き続きご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。

1年間お読みいただきありがとうございました。

 

profile

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神村 昌志 氏
(かみむら・まさし)
株式会社大分フットボールクラブ経営改革本部長。
1962年、愛知県半田市生まれ。大阪大学文学部卒業後、1985年に株式会社リクルート入社。2年目よりリクルートUSAへ出向。ロサンゼルスに駐在。外資系企業を経てJAC Japan(現・JAC Recruitment)入社。2003年に代表取締役に就任し、2006年JASDAQ上場を果たす。2008年10月より株式会社アイ・アム代表取締役社長を経て、2012年3月より株式会社アイ・アム&インターワークス代表取締役会長。2015年にはJリーグが設立したプロスポーツの経営人材を養成するビジネス講座「Jリーグヒューマンキャピタル(現・一般財団法人スポーツヒューマンキャピタル・略称「SHC」)」一期生へ。2016年より現職。趣味はサッカー、ゴルフ、落語、講談、ワイン、読書。アマチュア講談師として年に数回高座にも上がっている。
■大分トリニータ(株式会社大分フットボールクラブ)
http://www.oita-trinita.co.jp
■一般財団法人スポーツヒューマンキャピタル
http://shc-japan.or.jp