第17回 堀 雄太朗さん/株式会社堀文 代表取締役社長(亀川支部会員) #1からの続き
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■起業家を応援する、まちのコミュニティスペース
──これまでプロジェクトには、どのような方が参画されたのですか?
堀 最初のプロジェクトはAPUの学生さんたちによるカフェHush-Hushでした。主宰した学生は、高校生の頃からカフェをしたいと考えていたようで「たくさんの人とつながりたい」「笑顔あふれる温かい場所をつくりたい」という想いは、ウォームアップチャレンジのコンセプトにもピッタリでした。学生だから何もかもが初めての経験だったので、私も可能な限り彼女たちをサポートしました。最初にやったのは亀川の商店街や婦人会、振興組合への挨拶です。まだ社会との接点が乏しい学生さんの場合、まずは「自分のやりたいこと」を中心に物事を進める傾向にありますが、何をするにもベースになるのは「人」ですから、最初につながりをつくっておくべきと提案したのです。

──それは大切な考え方だと思います。
堀 おかげで商店街の皆さんも彼女たちを応援してくれました。なかには花を持ってきてくださったり、カフェの看板を作ってくれたりと、終始良好な関係が築けていたように思います。現在、彼女たちはそれぞれ別の場所で活動を開始していますが、「いずれまた亀川で新しいチャレンジをしたい」とも話していると聞きます。今度は「ウォームアップ」ではなく、「ビジネス」として亀川の活性化に貢献してくれるかもしれません。

──プロジェクトのスタート時に思い描いていた理想像ともいえますね。
堀 カフェの後に入ってくれた皆さんも、自治会活動に積極的に参加してくれるなど地元との交流に積極的です。加えて、この動きが当社の従業員にとっても刺激になっているようです。認知度も少しずつ高まっており、別府在住のアーティストから「若い活動家たちの拠点として使いたい」といった声も掛けられたりと、今後の事業展開に向けて意欲を高めています。

■子どもたちの可能性を引き出す「遊べる文房具店」
──今後、取り組まれていきたいことは?
堀 このプロジェクトを検討していた時、これからの当社のあり方にまで考えが及びました。結果、私自身が導き出した当社のあり方は「子どもの未来につながることをやっていこう」というものでした。もともと当社は学校や教育関連施設などとの取引先が多いので、その強みを活かして、あらためて「子ども」を軸に地域の未来へ貢献できる事業展開をしていくべきと考えました。

──具体的には、どのような?
堀 ひとことで言えば「遊べる文房具店」です。たとえば、お子さんが店頭に並んでいる商品を触ろうとすると、ほとんどの親は「勝手に触ってはダメ!」と制しますよね。でもそれって子どもの可能性を閉ざしているのではないかと思うのです。当社の場合はむしろ「触ってもいいよ」というスタンスで、子どもの目線に置いてある商品であれば自由に触れる、遊べる文房具店にしていきたい。さらに言えば、遊びを通じて子どもの「体験」を増やしてあげたい。かつて外を走り回っていた昔の子どもたちのように、いろいろな体験を通じて良し悪しの分別をつけられる環境が必要な時代だと考えます。子どもたちが思いきり遊具を楽しんでいる様子を見ながら、親や先生たちが意見交換できるコミュニティスペースなども作っていきたいですね。

次のイベントに備えて準備中の空間
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遊び心いっぱいのハンドメイドの収納家具も取り扱っている
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profile

ほり・ゆうたろう/株式会社堀文 代表取締役社長/1985年、別府市に生まれる。九州産業大学に進学後、2008年に上京し、オフィスデザインのコンサルティングを行うベンチャー企業に入社。営業として大手企業のオフィス移転などを担当。2012年に帰郷し、株式会社堀文に入社。2019年10月に同社代表取締役社長に就任し、現在に至る。
■株式会社堀文
大分県別府市亀川東町27-22
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