1808_column

異常な猛暑が続いています。皆様お変わりありませんか。
全国各地の豪雨といい、台風が東から西へ進んでくるという珍現象といい、明らかに気候がおかしくなっています。早め早めの対策で、安全かつ健康に過ごしていきたいものです。
そしてこの猛暑のなか、大分トリニータは7月以降苦戦が続いています。シーズン前半を首位で折り返しましたが、さすがに混戦のJ2、そう簡単にはいかないようです。
それでも反攻の兆しは見えてきています。岐阜・新潟をゼロで封じ、再び上昇気流に乗っていってくれるものと信じています。秋には「J1昇格」をこの手で勝ち取って、皆さんと共に喜びを分かち合いたいと思います。

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さて、これまでの連載は、大分トリニータで取り組んでいる改革の一部をご紹介してきました。
そこで今回と次回は、「これからの大分トリニータ」を見据えて、ぜひ皆さんにご提案したいことがあり、そのことについてふれたいと思います。

【トリニータの改革はトリニータのためだけにあらず、
 大分の企業の発展と共にあるはず】
 以前から申し上げていますように、トリニータは企業という視点でみれば、いわゆる中小企業に過ぎません。したがって、この記事を読んでいただいている多くの中小企業経営者の皆様と、同様の悩み・課題を抱えています。

その最大のテーマといっていいのが「人」の問題です。
私は長年、人材系企業の経営者として、何百社という企業の「人材課題」に直面し、そこで色々なことを学び、感じながら、自社の人材育成にも頭を悩ませながらチャレンジしてきました。
そこで出た結論は「伸びる企業には方程式がある」ということです。
その方程式は、以下のとおりです。

企業成長力=(採用 + 教育 + 評価)× 機会提供 × 経営コミットメント

わざわざ大上段に構えて言うようなことではないかもしれません。
むしろ当たり前のことであり、言われなくてもわかっていることかもしれません。
しかしながら、この方程式の各変数を最大化するための努力や工夫、あるいは「投資」をどこまで本気でやれているかと問われれば、必ずしも胸を張って「できている」とは言えない企業・経営者が多いのも事実だと思います。(もちろん私もその一人です)
それは何も「経営の怠慢」と言うことではありません。
「できていない」「不十分である」にはそれなりの理由があるのです。

それはズバリ、「自社単独ではやっている余裕がない」「自社にその専門家がいない」、そして「そもそも採用しようにも人がいない」といった現実があるのです。

一例をあげます。
新卒採用の媒体に広告を出しても、ほとんど応募がない。あったとしても結局、知名度があったり、給与が高かったり、安定しているような企業に、いい人材を獲られてしまう。
教育や評価の仕組みも作ろうにも、今どきの「働き方」にマッチした新しいものを作るノウハウがない。若い人にいろいろチャレンジさせたくても、自社内のローテーションが手いっぱいで、武者修行的に外飯を食わせたりする機会もない。
これらに経営者がコミットしたくても、他にも考えるべきことが山積しています。
そもそも経営者自身は、営業や技術の専門家や叩き上げの方が多く、「ヒトの問題」に関しては決して精通してはいないという現実もあります。
私は、この問題を解決したいのです。

これからの未来を見据えた時、ここ大分で、「大分トリニータだけが発展する」ということはあり得ません。あまねく大分の企業が発展してこそ、トリニータにも未来があるのです。
そしてそれは、必ずしも企業だけに限りません。NPOをはじめとした様々な社会課題に取り組んでおられる団体の皆様の持続可能な活動があってこその未来なのです。

私は、これまで金銭的な支援(スポンサーシップ)だけをお願いしてきたと思われがちだった大分トリニータと地域の皆様との関係性を、企業・団体・組織との「協働」と「価値協創」の関係に変えていくことに取り組みたいのです。
いわば上述した「成長の方程式」の各変数を、1社単独ではなく、「志」ある経営者の皆様と共に最大化したいと考えているのです。

「三人寄れば文殊の知恵」という言葉もあります。
たとえ1社ではできなくても、数社が集まり、知恵を出しあっていけば、解決の糸口が掴めると信じています。
そのためにまずは、大分の中小企業経営者と、次世代の経営者の皆様と共に、この問題について語り合う場を創りたいと強く思っています。

ただし私は、残念ながら大分県では外者(よそもの)です。経営者の方々を多く存じ上げているわけでもありません。
ですから、ぜひ皆様の「力」と「場」を貸していただきたいのです。

私たち大分トリニータが取り組んでいる改革は基礎的なことではありますが、かなり本質的な部分を突いた改革だと思っています。
僭越ながら、これらノウハウを共有すると同時に、大きなスケールに発展させることで、トリニータに関わる全ての企業・団体の皆様の発展や成長につなげていけると確信しています。
そしてこれが、大分のシンボルのひとつともいえる大分トリニータの輝く未来にもつながると信じています。

次回は具体的に実施したいことを詳述します。
また、今回のコラムをご覧になって、皆様も「こんなことができるのではないか」というアイデアを思いつかれるのではないかと思います。
まずは、皆様からのご意見・ご質問・ご提案などを下記アドレスまで送って頂ければ幸いです。

■みらいしんきん同友会 神村宛メール info@e-doyou.jp

猛暑の中でありますが、皆様ご自愛ください。

profile

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神村 昌志 氏
(かみむら・まさし)
株式会社大分フットボールクラブ経営改革本部長。
1962年、愛知県半田市生まれ。大阪大学文学部卒業後、1985年に株式会社リクルート入社。2年目よりリクルートUSAへ出向。ロサンゼルスに駐在。外資系企業を経てJAC Japan(現・JAC Recruitment)入社。2003年に代表取締役に就任し、2006年JASDAQ上場を果たす。2008年10月より株式会社アイ・アム代表取締役社長を経て、2012年3月より株式会社アイ・アム&インターワークス代表取締役会長。2015年にはJリーグが設立したプロスポーツの経営人材を養成するビジネス講座「Jリーグヒューマンキャピタル(現・一般財団法人スポーツヒューマンキャピタル・略称「SHC」)」一期生へ。2016年より現職。趣味はサッカー、ゴルフ、落語、講談、ワイン、読書。アマチュア講談師として年に数回高座にも上がっている。
■大分トリニータ(株式会社大分フットボールクラブ)
http://www.oita-trinita.co.jp
■一般財団法人スポーツヒューマンキャピタル
http://shc-japan.or.jp