※メイン画像は文中に登場する、ウワサの「まんべくん」。「くに丸・さき丸」のビジュアルについては、道の駅くにさきのスタンプなど僅かに残っています。ぜひ探してみて!

さて、ゆるキャラだけで1年間執筆し続けたコラムも今回で最後になります。
最終回のテーマは、「キャラクター復活劇」。
これは、表舞台から姿を消していたが、何かのきっかけで見事息を吹き返したキャラクターたちの話です。

姿を消す原因はいろいろあります。
誕生のきっかけとなったイベントの終了や、それに伴う所属団体の解散、所属企業そのものが無くなってしまうなど。自治体あるあるでは「中の人」問題(なり手不足)や、キャラクター愛溢れる担当者の異動による稼働率の低下。ほかにも、着ぐるみが汚れたり破損したりしたが、メンテナンスの予算がない…。
最近では、コロナによるイベント自粛などもありました。
出番がなくなったキャラクターたちは、(かさばるので)倉庫の奥に追いやられて、運が悪ければそのまま…なんてことも!?
ゆるキャラを愛する者としては、それだけはどうしても避けたいところです。

そこで、見事復活を果たしたキャラクターたちをご紹介します。

以前少し紹介した「くに丸・さき丸」は、1993年に旧国東町のキャラクターとして誕生しましたが、市町村合併後は出番が激減。2008年の取材時はグラウンドに併設された倉庫で眠っていました。
こういう場合、「めじろん」や「チーバくん」など国体規模のキャラクターなどは、“再就職”という名目で県の公式キャラクターに昇格できる例もあります。

しかし国東市では2013年に、市のキャラクターとして新しく「さ吉くん」が登場しました。
万事休すと思いきや、「修正鬼会」の鬼面モチーフが功を奏し、なんと2018年の「六郷満山開山1300年」ではイベントのキャラクターに抜擢されました。
まさに“捨てたものではない”です。

まれに、消える原因として「炎上」があります。
派手に燃えたにも関わらず、見事な回復劇を見せたのが北海道長万部町の「まんべくん」です。

長万部町が2003年に「長万部町開礎130年町制施行60年」の記念事業として行なった、キャラクターの公募で準入選し、デビューしたまんべくん。
実はこの時の入選作品は、ボディがホタテ貝のカニキャラ「ホタテガニ」でした。
しかし、町花のアヤメ、特産品の毛カニとホタテを全身にあしらったまんべくんの方が擬人化されていることもあり、着ぐるみとしても使いやすかったのではと推測。(そもそも、世の中にはカニモチーフのキャラクターが山ほど存在するし)
当時は全国各地で精力的に町のPR活動を行っていたようで、私が初めて会ったのも大阪でした。

まんべくんがブレイクしたのも、そして消えたのも、きっかけはTwitter(現X)での“毒舌ツイート”。
炎上マーケティングにより、一時は小さな自治体のキャラクターながら9万人を超えるフォロワー数を誇り、各種メディアにも取り上げられましたが、ある過激すぎる発言でついに大炎上。全国から役場に苦情が殺到したそうです。

町はツイートした運営会社に対し使用許諾権を禁止。アカウントも閉鎖されました。3カ月後には運営を町に切り替えて活動を再開し、以降は長万部町で「ひっそりと」過ごしていたようです。

現在は、町の魅力を伝える正統派キャラクターとして活躍中。
しかも「AIまんべくん」として進化しており、若干の毒舌を交えた会話からユーザーの属性を読み取り、長万部町のおすすめスポットやグルメ情報などを紹介しています。
長万部観光協会のブログを見たところ、トップ画像が「着ぐるみのまま露天風呂に浸かるまんべくん」だったので、また何かやってくれるかも?

担当者の皆さん、せっかく生まれてきたキャラクターや着ぐるみを再デビューさせる方法を、ぜひ考えてみてください。
あなたが思っているより、まだまだ人気者ですよ。

私の2024年初ゆるキャラは、西都市の「はにわボー」でした。実は埴輪キャラも結構います。

profile

相原 利衣子
あいはら・りえこ:宮崎県都城市出身。大分市在住。株式会社Oulu(オウル)編集者、プロデューサー。大分の出版社で22年雑誌制作に携わり、2021年に編集プロダクション「Oulu」を設立。webメディアや新聞、パンフレットなどの紙媒体から、パッケージやグッズなどのプロダクトデザイン、ラジオ構成作家まで、「丸投げ、よろんで」の精神で活動中。趣味は飲酒、飲食全般で、初対面の人とも陽気に酒を酌み交わせるのが特技です。