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2006年の設立以来、空気環境の改善につながる紫外線照射装置等の開発・販売などを行っているエネフォレスト株式会社が、2020101日に社名を変更しました。新社名は、同社の製品名から命名したエアロシールド株式会社。コロナ禍の中で大きく注目されている同社ですが、ここに至るまでには苦労も多かったといいます。開発の背景には何があったのでしょうか。同社が目指す社会は、どのようなものなのでしょうか。

※エアロシールド社ホームページより。クリックすれば拡大されます


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■身近にいる大切な人を守りたい

──新型コロナウイルスの感染拡大により社会全体が大きく変わろうとするなか、御社が開発・販売している紫外線照射装置「エアロシールド」が大きく注目されています。まずはエアロシールドの特長をお聞かせください。
木原 エアロシールドは、空気中に浮遊する細菌やウイルスを紫外線によって減少させ、空気環境の改善につなげる装置です。高さ2.1メートル以上の壁や天井付近に設置し、特殊なルーバー(仕切り板)が紫外線を下方に照射することを防ぐため、室内上部のみで紫外線層を形成することができます。そのため、人がいる空間でも人体の影響を心配せずに24時間稼働できます。エアロシールドの空気環境改善対策と、接触・飛沫感染対策を併せて実施することで、より高い感染対策の効果が発揮できるようになるのです。第三者研究機関の実証試験では「実空間における浮遊菌が89.6%減少する」という結果も得ており、米国政府の感染症対策機関が作成するガイドラインにおいても、UV-C(紫外線C波)を利用した空気清浄法が推奨されています。

──紫外線を心配することなく、人体への安全性が証明されたのですね。
木原 食品工場などで使用されている従来の紫外線殺菌装置は、人に当たらないように紫外線が制御されているわけではないので、人がいない夜間に稼働させるのが一般的です。でも、それでは物体に付着した菌やウイルスを死滅させることができても、人がいる空間の対策はできません。人から菌やウイルスを発生してしまうので、人がいる空間での対策が必要だという課題意識がありました。エアロシールドは当初から「実際の生活環境において効果があること」にこだわって開発を進めてきました。


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──開発の背景には、何があったのでしょう?
木原 大切な家族に対する想い、とでも言いましょうか。20年ほど前に祖父が高齢者施設に入居した際、その施設では肺炎に罹患する方が続いていました。そこで施設内の空気を測定してみると、肺炎を引き起こす浮遊菌が多く検出されました。抵抗力が弱い高齢者は、空気中の菌を吸いこむと肺炎を発症して重篤化し、最悪の場合、死に至ります。これは裏を返せば「空気環境を改善すれば救える命がある」ということになります。そこから、エアロシールドの開発に着手するとともに、当社の前身であるシールドテック有限会社を2006年に設立(翌年に株式会社へ改組)。その後、大分県ビジネスグランプリ優秀賞を受賞し、私が入社した2008年は「エアロシールド」が商標登録し、経営革新計画の承認を受けた年でした。

■製品に託した「ミッション」を伝える
──木原社長ご自身は、入社するまでどういう仕事をされていたのですか。
木原 株式会社セブン-イレブン・ジャパンで店舗経営相談員の仕事をしていました。経営のことも学べる恵まれた業務でしたが、父の考えを聞いて「エアロシールドの普及に貢献したい」という使命感が強くなり、転職を決意しました。しかし当初は販路も皆無に近い状態で、一般的な空気清浄機も既に普及していたので苦労しました。実際のところ、なんの知名度もない会社の若造が、よく分からない製品を売りに来たところで相手にされるものではありません。そこで考えたのが、まずは自分自身を信用していただき、当社に興味を持っていただくことから始めました。具体的には、先ほどお話したようなエアロシールド開発の背景にある「人に対する想い」、そして私自身のミッションである「大切な人が心身ともに健康に暮らせる世界の実現」に対する情熱を伝えることから始め、そこから当社の感染症対策におけるノウハウ全般に興味を持ってもらうようにしました。

──効果はありましたか。
木原 はい。まず感染症対策は「空気」感染だけではなく「飛沫」「接触」感染も併せて対策する必要があることを理解してもらうことに始まり、感染症対策にかかる費用と感染症が広まった場合の損失を比較して見せる等、トータルで施設内の日々のオペレーションを変えることが必要だと訴えました。そのうえで当社が持つノウハウをアピールしたところ、製品の導入を決めていただく施設が次第に増えはじめました。いま思えば、大切な人のため、お客様のため、社会のためという「利他」の気持ちが強くなってから成約が増えるようになったように感じます。介護施設を中心に病院、保育施設など導入した施設からは「インフルエンザの感染者が減った」「園児や職員の欠席者が減った」といった声もいただくようになり、非常にうれしかったですね。

「あの人に聞きたい 木原 寿彦さん/エアロシールド株式会社 代表取締役(南大分支部会員)#2へ続く

profile

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きはら・としひこ/エアロシールド株式会社 代表取締役
1983年、福岡県北九州市に生まれる。大分市内の高校を卒業後、2001年に北九州市立大学へ進学。卒業後の2005年、株式会社セブン-イレブン・ジャパンに入社。2008年に同社を退社後、シールドテック株式会社(現・エアロシールド株式会社)へ入社。以来、大分を拠点にエアロシールドの販路開拓、製品改良、新製品開発などに従事。2017年より現職。
■エアロシールド株式会社
大分県大分市大字木上394番地の12   ※地図
tel:097-588-8120
https://www.aeroshield.co.jp/