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女性起業家の創出を目的としたビジネスプランコンテスト「おおいたスタートアップウーマンアワード」。みらいしんきんは当アワードのサポーター企業として事業の実現・成長促進を応援しており、2018~2019年にかけて開催された2回目のアワードでは、ファイナリストとして登壇した女性起業家9組にサポーター賞を贈りました。
2回目のアワードでサポーター賞をお贈りした女性起業家から3組をご紹介します。2組目は、201710月に、薬剤師と薬局をつなぐマッチングサービス「ふぁーまっち」の展開をスタートさせた野中牧さんにお話を訊きました。

新しい働き方の仕組みをつくる
──まずは、「ふぁーまっち」の概要から教えてください。
野中 「ふぁーまっち」は、薬剤師さんと薬局をつなぐマッチングサービスです。大分県内の大学には薬学部がなく、慢性的に薬剤師が不足していることもあって、薬剤師さんたちはパートであっても休みが取りづらいという現実があります。なので、薬剤師資格を持っていたとしても、小さなお子さんをお持ちのママなどは薬局を働く場所として選びづらいんですね。そんな状況もあって、「フルタイムでは働けないけど少しなら働ける」という薬剤師さんと、「少しでもヘルプに来てほしい」という薬局をつなげて、常勤の薬剤師さんが休みを取りやすい環境にしたい、人手不足を緩和させたい、と考えました。「ふぁーまっち」は、そんな想いが土台にあってスタートしたサービスです。

──起業の背景には、野中さんご自身の経験もあるんですか?
野中 私自身、福岡の大学を卒業後に別府の病院や薬局で薬剤師として働いていたんですが、出産後は子どもが熱を出しても休みが取れなかったり、同僚の薬剤師さんから「将来の夢は子どもの卒業式に出ること」といった話を聞いたりしてきました。子どもを病児保育に預けて出勤する時なんかに、「なんのために働いているんだろう?」と思ったことは一度や二度じゃありません。だったら自分で薬局を開業して、事情をお持ちの薬剤師さんを雇えばいいんじゃないかと考えた時もありましたが、そうなると目に届く薬剤師さんはせいぜい20~30人ほど。業界全体を変えたいんだったら、これはもう新しい仕組みをつくるしかないなと思いました。

──新しい仕組みをつくる。薬局の皆さんの反応はいかがでしたか?
野中 起業して最初の1ヵ月間は営業活動として多くの薬局を回りましたが、門前払いされることもありました。でも、大手チェーンはともかく、個人経営の薬局って人材の確保に苦労しているところが多いので、会ってお話すれば共感してくださる方にもたくさん出会えましたね。今(201912月現在)は別府市、大分市、中津市、宇佐市の30店舗が「ふぁーまっち」に登録しており、うち7店舗は実際に私も働かせていただいています。常勤の薬剤師だった頃は職場にいるのが当たり前だったので、感謝の言葉をかけられることは少なかったんですが、今では、ヘルプに入るといつも「ありがとう」とおっしゃってくれるんです。うれしいですし、薬剤師として働くモチベーションにもなりますね。

第2回アワードでは、お子さんと一緒に入場

第2回アワードでは、お子さんと一緒に入場


「ふぁーまっち」は、夢を達成するための手段

──薬剤師の皆さんには、どのように事業を知っていただいたんですか?
野中 実は、薬剤師の皆さんに周知を図る目的で「おおいたスタートアップウーマンアワード」に応募したという経緯があります。自分で広告費を出さなくても、いいところまで行けば多くのメディアで紹介していただけますから。でも、世の中そんなに甘くはいきませんよね。2017年に開催された1回目のアワードに応募した時は、ファイナルに残ることができなかったんです。自分的には自信があったのに「何で!?」って思って。選ばれなかった理由は「事業内容が妄想に聞こえる」というものでした。

──事業内容が妄想に聞こえる、とは?
野中 1回目のアワードに応募した時は事業を始めたばかりで、まだ、私と一緒に働いてくれる仲間がいませんでした。1人でやっていた。そこを指摘され、「共感してくれる人がいないと、あなた1人の妄想と捉えられても仕方がないよ」と言われたんです。なるほど、と思ったと同時に、それからはもう仲間集めですよね。2回目のアワードまでに、知り合いのつてなどで2人の仲間を集めました。1人は、すでに薬剤師の一線からは退かれていて、後進に知識を伝えるために講師業をされている方、もう1人は、出産後も薬剤師として働き続けることに不安を感じていた若い女性です。こうして仲間を増やせたことが、第2回目のアワードでファイナルまで残れた理由の一つだと思います。

──2回のアワードをご経験されて、いかがでしたか?
野中 1回目の時は未熟だったということもあって、自分の想いを「伝える」ことに必死でした。でも、想いって、伝えたつもりでも相手に伝わってなかったら意味がないし、実際のプレゼンでも空回りしていた部分があったと思います。なので、2回目のアワードでは、どうすれば「伝わる」んだろうと考えながら、納得がいくまでプレゼン資料を何度もつくり直しました。今後も事業を続けていく上で、この経験は大きな糧になったと思います。
また、知名度という意味でも少しずつですが高まっていて、現在までに登録してくれた薬剤師さんは7人になりました。中には、いろんな薬局を経験することで処方知識の幅を広めたいという男性薬剤師もいて、「ふぁーまっち」は子育て世代の女性だけじゃなく、多くのニーズに応えられるサービスなんだと実感しましたね。

──今後の展望についても教えてください。
野中 まずは、「ふぁーまっち」のWebサイトを進化させることですね。実はこのWebサイトって、アナログで運営しているんです。薬局から連絡が入ったら、登録している薬剤師さんに「この日に行ける人はいますか?」と一斉メールを送る、という形です。でも、アワードを経てシステムを開発してくれる会社が見つかったので、マッチングをシステム上で完結できる形が整います。これをうまく軌道に乗せることで、大分県だけじゃなく福岡や熊本、鹿児島、そして九州全体に事業を広げていきたい。すでに福岡では働いてくれる薬剤師さんを見つけていて、熊本、鹿児島では、働く先となる薬局も確保しています。でも「ふぁーまっち」の拡大は、夢を達成するための一つの手段です。私の夢は、誰もが働きやすい社会を実現すること。自分の子どもたちが大人になった時に、今よりも働きやすい社会になっていることを夢見て、事業を続けていきたいと思っています。
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profile

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のなか・まき/臼杵市出身。福岡の大学を卒業後に別府へJターンし、病院内の薬剤師として勤務。結婚・出産を機に退職し、在宅専門薬局(被処方者がいる自宅や施設に直接薬剤を届ける薬局)や大手チェーンの調剤薬局などを経験。201710月に起業し、薬剤師と薬局をつなぐマッチングサービス「ふぁーまっち」をスタート。201912月現在、登録薬局数は30箇所、登録薬剤師は7名に上る。
■ふぁーまっち
http://yakuken.work