2024年4月、新生活・新学期・新体制等いろいろな「新」がスタートしますが、何かと落ち着かない日々を過ごす時期でもあります。そんな時に重要なのが生活や仕事の「リズム」を早くつかむこと。ポイントは「自分に合ったルーティーン」を見つけて実行することでしょうか。

ところで、みなさんは「ルーティーン」と聞いてどんなことを思い浮かべますか。自分事で考えると「毎朝起きたら必ずストレッチする」とか「出勤前に必ずスタバに寄る」等、日常生活上の習慣・日課(決まった行動)などでしょうか。他人事では、プロアスリート達の日々のトレーニングや試合や大会前のウォーミングアップ等がルーティーンのイメージかもしれません。異色なところでは、MLBの大谷翔平選手の場合、 「ホームゲームの時は朝9時過ぎに起きてから朝ご飯を食べた後またすぐ寝て、その後起きて球場入りしたら、すぐご飯を食べる」ことだそうです(笑)。

ルーティーンの辞書的な意味は、「決まった所作・動作を繰り返すこと」
①毎日同じ動作を繰り返すこと
②特定のシチュエーションで決まった動作を行うこと
①はいわゆる日課的なことですが、②には「重要な会議は必ずこのスーツを着る(勝負服)」的な「縁起(げん)を担ぐ」といったニュアンスも含まれるようです。

そして今回紹介する「究極のルーティーン」を実践する人が青山ミチルという京都在住のアンビエントミュージシャン(1985年生まれ39歳)。
彼が実践しているルーティーンは「毎日(!!)アルバムを配信リリースする」こと。
2021年12月31日以来、毎日ですよ!
しかもアルバムですよ!
毎日日付が変わるタイミングで全8曲20分28秒(たまに32秒だったりしますが…)と、短めですがフルアルバムが配信されてきます。筆者はSpotifyでそのアルバムを毎朝入浴中に(瞑想しながら)聴いています。

あるメディアのインタビューで「曲を書くのは日記をつけるようなもの」「良い思いでも悪い思いでも全て公開していて、毎日曲をつくるのは楽しい日課になっている」と、まさに音楽家としての究極のルーティーンを実践しているわけです。

彼の作る音楽は、アンビエントミュージック(環境音楽)と呼ばれるインストゥルメンタルミュージック。複数の楽器を自ら演奏し、録音し、編集等の作業を終えて毎日同じ尺(曲数/収録時間)のアルバムを配信。気の遠くなるようなルーティーンというか、私たち一般人にとっては修行・苦行に思えますよね。
ちなみに聴き始めた時はアルバム8曲すべて同じように聴こえて、曲の区別がつきませんでした。でも辛抱強く(笑)聴き続けていくうちに、音の粒感や重層感が何となく判別できるようになった気がしてきました。

音楽の製作現場がほぼデジタル化され、発表の場(フォーマット)が店頭や公共のメディアから個人への配信にシフトしている時代に「ルーティーン・アンビエントミュージック」(筆者の独断ネーミング)ともいえる新たなジャンルを生み出した青山ミチル氏。
「継続は力なり」ならぬ「ルーティーンはイノベーションなり」でしょうか。

■アンビエントなMichiru Channel
https://www.youtube.com/@michiruchannel8174

profile

柴田廣次
しばた・ひろつぐ/1960年、福島県郡山市生まれ。筑波大学卒業後、1983年株式会社パルコ入社。2004年〜2007年には大分パルコ店長を経験。2018年2月に独立し「Long Distance Love 合同会社」を設立。
■Long Distance Love合同会社
https://longdistancelove.jp
■コラムインコラム 「今さらですが、今読むべき本。
 今から10年ちょっと前くらいに、外資系やIT企業、そして(改革を進めたい)老舗大企業等がこぞって取り入れていたマインドフルネス。日本語に最も訳し難いワード(概念・思想)のひとつでしょう。その当時イケイケだったGAFA等のIT大手企業の社員教育(≒生産性の向上≒利益最大化)に取り入れたという情報が日本国内に流れると零細IT会社から百貨店最大手のMIグループに至るまで、猫も杓子も飛びついた感のある、意味不明な(ちょっと怪しげな)マジックワードですが、最近またジワっと表舞台(?)に現れてきました。CORONA禍を経験し、自然災害や戦争・紛争が絶えない不透明な時代の中、心を平穏に保つメソッド(スキル)としての「マインドフルネス」は抽象的な概念や思想(宗教等)よりも受け入れやすいのかもしれません。
今回紹介する「頭を『からっぽ』にするレッスンの副題は「10分間瞑想でマインドフルに生きる」。このコピーに、日本人の多くが何となく怪しさを感じてしまう「瞑想」というワードが含まれています。
「瞑想≒修行」「宗教的な行動」「60年代アメリカのヒッピー文化」等、どれも間違いではありませんが気安く近寄れない印象は否めません。ちなみに帯のコピーを見てみると、

・「ビル・ゲイツが選んだ、読みながら実践できるマインドフルネス入門の決定版」
・「瞑想は、心のエクササイズ、よりよく生きるためのツールです」
・「カラダを楽にして深呼吸、軽く目を閉じ呼吸を整え、吸って吐いてを10分間繰り返すだけでこころは整う」

このコピーだけでは、日常生活やビジネスの現場に生かせる、具体的な効果や結果(成果)を出せると実感するのは難しいかもしれません。
私もそう考えていたひとりですが、実はこの本の著者がアンディ・プディコムと聞いて、すぐポチしました!彼のことを知ったのは「ヘッドスペースの安らぎガイド」というNetflixの人気アニメーション(ドキュメンタリー)で「ヘッドスペースの瞑想ガイド&睡眠ガイド」を観た時でした。個人的にはコロナ禍の真っ只中でこの番組に出会って以来、特に睡眠についての意識が大きく変わりました。今では深く考えることなく(怪しむことなく?)毎朝10分の入浴中に「瞑想」的なルーティーンを取り入れています。今流行りのサウナより修業(苦行)的でもないライトな瞑想の方が簡単に「整い」ます、個人的ですが。
というわけで、今さらですが「マインドフルネス≒瞑想、いかがですか?」