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第13回 CTIが顧客満足度をアップさせる

■問い
最近、飲食店や会計事務所などに導入が進んでいる「CTI」って何ですか?

■答え
「CTI」とは“Computer Technology Integration”の略称です。
電話とコンピュータを統合する仕組みですが、当時は高価で一部の大手企業しか導入することができない仕組みでした。しかし、今では多くの企業や中小企業が利用できるようになっています。特に、電話がコンタクトポイントとして重要な位置づけになる事業では、CTIの活用によって顧客の満足度と従業員の生産性を一緒に向上することができます。

■解説
息子の幼馴染の父親が経営している小料理屋さんがあります。電話をすると、人数と目的を聞いて、ふさわしいおもてなしをしてくれます。
当たり前ですが、このようなサービスって心地が良いですよね。不満を覚えることもないし、毎回同じことを説明する必要も無いのですから

20年頃前より「CTI」という仕組みが普及しはじめました。“Computer Technology Integration”という略称を聞くと何だかすごそうですが、何のことは無く、電話とコンピュータを統合する仕掛けをさします。今ではローテクかもしれないけれども、マーケティングをサポートする仕組みとしては、めちゃくちゃフィットしているのです。
特に、顧客とのコンタクトポイントが電話を主体とするサービスは、ネット予約やSNSなどが普及しても、やはり電話に依存するので、電話の満足度を向上する意味でも検討に値します。しかし導入率は関係者いわく「全ての業界平均で2%程度」というのです。
これってチャンスですよね。

普及していない理由は認知度もあるのですが、当時から非常に高価な仕組みだったことがあり、一般に認知されなかったという理由があります。ひとこえ、数億の仕組みだったのです。
しかし、現在では飲食店一店舗でも導入できる金額帯にまで下がってきており、CTIを導入した効果は、それから得られる効用と比較すると遥かにコストパフォーマンスに優れているのです。つまり投資回収も十分に見込める可能性があるのです。

■そもそもCTIとはどういう仕組みなのか?
先程、贔屓にさせて頂いていた小料理屋さんの話をしました。そのお店の大将は、私のIDを電話番号ではなく私自身の声、つまり大将の記憶によって認識しており、それに応じて適切な対応を瞬時に行ってくれているという事例です。
例えば、以前このような会話をした記憶があります。
「今、歯の治療をしていて、硬いものが食べにくいのです」
するとその後の来店時には決まって、硬い食べ物は出てこないのです。私にふさわしい料理を出してくれているのです。仮に食べにくいものがあれば、少しカットの仕方を工夫してくださるのです。
また、他の顧客には内臓料理を勧めるのですが、若干苦手な私には様子を見ながら勧め方を変えているのです。
顧客としては、ちょっと嬉しいですよね。

先日、たまに行く寿司屋を予約しました。これまでも過去に何度も行っているお店ですが、毎回電話対応がよそよそしいな、と感じます。さらに決まって毎回、食の好みをゼロから説明しないといけないことに、若干のストレスを感じてしまいます。
しかし味は最高、雰囲気も最高、そして店内でのサービスも最高です。それでも電話対応は、いつも不満がつのるのです。
ふらっと行っても空いているわけでもなく、だからといってまた電話して予約するのも億劫になるので、毎回「なんだか嫌だなー」となってしまい、食べに行くお店としては想起するにも関わらず、食べに行く行動を起こすまでは、なかなか及ばないのです。

■近年の店舗の内情と若者の生態について
近年の店舗では、全員が正社員であればよいのでしょうが、時間帯によってはパートやバイトが対応することも当たり前の時代です。新人であれば、過去の顧客の状況を知らないのが当然ですし、わかっていても直近来る顧客のことに限定されるでしょう。

しかし顧客は違います。
常に私のように「勘違い」をするのです。「自分は特別だよ。だから特別に扱ってもらいたい」と…。
なぜなら、顧客にとってはお店を覚えているし、大将を良く知っています。数回行けば、常連のように勝手に勘違いしてしまいます。しかし大将からするとたくさんの顧客のうちの一人に過ぎず、多くの場合は忘れてしまうこともあるのです。顧客としては、そのような状況は理解できても、やはり不満に思うのです。

ただ、顧客としても特別扱いは不要と考えています。
前回の記憶や、ちょっとした特徴を理解した上で、要望を聞いてくれるだけで十分なのです。そうは言っても、慣れているベテランや規模が小さいお店では対応できるでしょうが、大きな店舗や複数にまたがる店舗では毎回、一見さんと同じ対応をするしかないのです。

最近の若者についても、振り返ってみましょう。
若者は、基本的に誰だか分からない電話には出ません。スマホには自分の知っている人からしか電話がかからないので、知らない人からの電話は出ないのです。番号の登録がない電話に対しては居留守を使い、あとでその番号をググってから相手が誰かを確認して電話をする。これが若者の生態系なのです。
おじさんやおばさん世代には理解し難いかもしれませんが、若者にとって電話に出ることは、若干の「恐怖」体験を伴うのです。
そして、何でも電話で済ませるという発想は若者にはなく、SMS(ショートメッセージ)やメールなどスマホを活用したほうが嬉しいのです。

■CTIが電話の底力をバックアップする
世の中がIT化して20年くらいが経過します。
しかし店舗ビジネスなどのB to Cのビジネスは、今でも多くのコンタクトポイントを、電話に依存しています。
にも関わらず、電話の対応は個人まかせで、仕組み化されていないのです。個人の能力と記憶に、完全に頼りきっているのです。
これは危険ですよね。そしてこれらを解決する仕組みがCTIなのです。

たとえば、店舗系の電話がコンピューターやタブレット端末に紐付いていることを考えてみましょう。
電話着信と同時に、その番号に紐付いたデータが誰でも分かりやすく確認されます。飲食店の場合は、過去の利用履歴や申し送り事項、顧客の特徴が瞬時に表示されます。そのため新人からベテランまで共通に顧客の大切な情報を共有できるのです。

また病院では電話口で名前を確認してから、カルテ情報を確認しています。その間、わずか30秒程度ですが、待つ人からすると長く感じます。
CTIではそれも解消されます。電話を取る前に誰だか分かるのですから。同時に過去の治療状況や、ちょっとしたグループ上での会話を共有することも可能です。その前提で電話に対応できるため、患者さんに即した話が自由にできるのです。

悪質な営業電話や意味不明の勧誘なども、常にシステム内で共有できます。そうすると、あえて取らなくても良いという判断もできるのです。
人数が少ない店舗では、急ぎで電話を取ったら勧誘だった、というがっかり感も解消できるのです。

最近はケータイやスマホが普及しています。
電話での予約確認事項を、その直後にSMS(ショートメッセージ)などを活用して顧客に共有することも可能です。予約を伴うサービスの場合など、予約終了後にSMSに予約時間と場所などのデータを共有することができます。また、予約前日、当日の朝にもリマインドを送ることも可能です。相手が高齢な方であれば、その電話番号に紐づくデータから、予約情報等をハガキに印刷して郵送するサービスも可能です。

顧客とのフォローを気軽にコンピュータを活用して、無理なく行うのがCTIの特徴なのです。

profile

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早嶋 聡史 氏
(はやしま・さとし)
株式会社ビズナビ&カンパニー 代表取締役社長
株式会社ビザイン 代表取締役パートナー
株式会社エクステンド 取締役
一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会 理事

長崎県立長崎北高等学校、九州大学情報工学部機械システム工学科、オーストラリアボンド大学経営学修士課程修了(MBA)。
横河電機株式会社の研究開発部門(R&D)にて産業用ネットワークの研究に従事。MBA取得後、海外マーケティング部にて同社主要製品の海外市場におけるブランド戦略・中期経営計画策定に参画。B2Bブランディングの先駆けとして後に知られるようになったVigilanceという力強いブランドキャンペーンを実施。退職後、株式会社ビズナビ&カンパニーを設立。戦略立案を軸に中小企業の意思決定支援業務を行う。また成長戦略や撤退戦略の手法として中小企業にもM&Aの手法が重要になることを見越し小規模のM&Aに特化した株式会社ビザインを設立。更に、M&Aの普及活動とM&Aアドバイザーの育成を目的に一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会(JMAA)を設立。現在は、売上規模数十億前後の成長意欲のある経営者と対話と通じた独自のコンサルティング手法を展開。経営者の頭と心のモヤモヤをスッキリさせ方向性を明確にすることを主な生業とする。
【著書・関連図書】
できる人の実践ロジカルシンキング(日経BPムック)
営業マネジャーの教科書(総合法令出版)
ドラッカーが教える実践マーケティング戦略(総合法令出版)
ドラッカーが教える問題解決のエッセンス(総合法令出版)
頭のモヤモヤをスッキリさせる思考術(総合法令出版)
【関連URL】
■早嶋聡史の戦略立案コンサルティング
http://www.biznavi.co.jp/consulting/strategy_planning

■早嶋聡史の事業実践塾
http://www.biznavi.co.jp/businessschool

■中小企業のM&Aビザイン
http://www.bizign.jp