令和という言葉は万葉集が由来という。
調べてみると、第五巻「梅花の歌三十二首」にあった。
729(天平2)年の正月、大伴旅人の大宰府の家に役人や友人が集まり宴会を開いて参加者が歌を詠んだ。合計32首。この序文に「時に、初春の月にして、気淑くぐ」の一文がある。「令月」とはよい月のこと、空気は澄み風はおだやかという意味だ。
米の値段は上がるし辛いことも多い今日この頃、心はいつも令和でありたいもの。そこで32首の中から4首を選んで、癒されそうな歌を作りました。

【和歌のスタイルで表現してみた】

Usage #58
ひとりの時間を大切に、の法則

四季問わず西に沈む太陽を ひとり見つつ夕日暮らさむ

[元歌]
春さればまづ咲くやどの梅の花 ひとり見つつや春日暮らさむ 万818
訳:春になるとすぐに咲くのが庭の梅の花。ひとりで眺めて春の日を過ごしたいもの。

[解説]
元歌の作者は筑前守の山上憶良(やまのうえの おくら/660 – 733)。この歌は、ひとりで花を眺めて一日過ごす、という憶良がヨシとする時間の過ごし方がほわっと伝わってくる。憶良は、大勢が集まる会合は苦手だったのではないかと思ふ。能率、効率、コスパ、タイパの圧がかかる日々。それらをシャットアウトして、ひとりでぼんやりする時間が大事だ、ということだ、きっと。。

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Usage #59
思ふどち=気の合う仲間=を大切に、の法則

季節は今が盛りなり思ふどち 缶バッチつけて今盛りなり

[元歌]
梅の花今盛りなり思ふどち かざしにしてな今盛りなり 万820
訳:梅の花は今が盛りと思う仲間が集まり、みなさん頭に花をかざして宴たけなわです。

[解説]
元歌の作者は筑後守の葛井大成(ふじい の おおなり/? – ?)。大伴旅人と交流があった役人。何か理由をつけて催しを行い、顔を合わせ気分を盛り上げるのは大事なのだ。気の置けない思ふどちが集まってワイワイやるときなど、よく花を頭につけて「かざし」にする。花の勢いを借りるのだろう。マネして花の絵がついた缶バッチを帽子につけました(写真)。

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Usage #60
酒の飲み過ぎには油断なきよう、の法則

テーブルの上に皿並べ 飲みての後は酔い果るともよし

[元歌]
青柳梅との花を折りかざし 飲みての後は散りぬともよし 万821
訳:青柳や梅の花を折ってかんざしにして皆が大いに飲んだ後、花は散ってもよろしい。

[解説]
元歌の作者は、満誓(まんぜい まんせい/? – ?) 。旅人や憶良と筑紫で歌を詠みあった仲間。この人は元役人で木曽路の開削という大仕事を終えた後、出家したつわもの。花は散ってヨシ!に潔い気質が現れている。とはいえお酒の飲み過ぎでぐでんぐでんになるのは気を付けないと、です。

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Usage #61
人のいるところで楽しくする気持ちが大切、の法則

アクセサリーに気を配ってご参加の皆さん 今日は楽しく参りましょう

[元歌]
梅の花折りてかざせる諸人は 今日の間は楽しくあるべし 万832
訳:梅の花を折りかざす皆さま、今日一日、楽しく過ごしましょう。

[解説]
元歌の作者は、荒氏稲布(こうし の いなじき/? – ?)。神司をやっていた人だ。梅の花を頭につけて楽しく過ごしましょう、と歌で語りかける。場の空気に沿って盛り上げる気分が伝わる。この姿勢が大切なのだ。みなさん、令和の毎日を一緒に楽しく盛り上げましょう。

 

profile

安部 博文
あべ・ひろふみ:1953年、大分市生まれ。大分大学教育学部物理学科卒業、師匠は田村洋彦先生(作曲家)。由布院温泉亀の井別荘天井桟敷レジデント弾き語リスト(自称)。大分大学で第1号の経済学博士、指導教員は薄上二郎先生(現青山学院大学経営学部教授)。国立大学法人電気通信大学客員教授。電通大認定ベンチャーNPO法人uecサポート理事長。
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