土留め工事に経営資源を投下し、業界での存在感を高めていく
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丸正建材工業株式会社は、土木建築工事を主たる業務とする会社です。
昭和26年に別府市内で「西林塗料」の名称で事業を立ち上げられた同社ですが、ラワン合板等の新建材を扱うようになったことを機に大分市へ本社を移転。新産都計画に伴う景気拡大が続くなか、その仕事ぶりが地場ゼネコンをはじめ建設関連会社から高く評価され、生コンクリート事業、杭工事、地盤改良工事、石工事等の事業を順次拡大していきました。一時はビジネスホテルや貸しビル等の多角経営にも取り組み、業績も好調だったのですが、現在は土木建築事業に絞り込んでいます。西林広貴代表取締役は次のように話します。
「今は建築・土木現場における仮設設備の“土留め”工事に力を入れています。県内での施工業者は少なく、外から見えにくい工事ではありますが、建設・土木工事においては重要な役割を担うものであり、全社員が誇りを持って取り組んでいます」
“土留め”とは、建築・土木の現場で敷地の一部を掘り下げる時、まわりから土砂が崩れ落ちるのを防ぐために設けられる鉄製の板やH型鋼といった仮設構造物のことで、“山留め”とも呼ばれています。浄化槽やビル建設の現場では必要な工事であり、卓抜した技術が求められます。
「以前は外注に出していたのですが、2018年に後継者不在で余儀なく廃業を考えていた取引先から機械設備と熟練従業員を受け入れ、新たな事業としてチャレンジしています」
“土留め”工事の工法は進化しており、同社は従来の“油圧式バイブロハンマー工法”だけでなく、騒音や振動が少ない“サイレントパイラー工法”も手がける業者として、業界での存在感を高めています。三代目後継者として入社してきた西林正二郎氏も「“土留め”の技術を習得し、多くの方から認められる企業にしていきたい」と抱負を語ります。
実は、西林広貴代表は明治大学の商学部、正二郎氏は同大学政経学部と、おふたりとも土木とは直接関係のない学部を卒業されています。
「経済や市場の仕組みを学び、広い視野をもって経営にのぞむよう努めています。私もそうだったように、必ずしも先代から後継者になることを強制されませんでしたが、私自身が会社を引き継ぎ、存続させたいと思い、今日までこの事業にやりがいを持って従事してきました。入社当初は戸惑う場面もありましたが、取引会社の方々に仕事の楽しさ、厳しさも教えていただきました。仕事や会社に対する社員の想いは同じであり、その“絆”を強固にするには社内の意思疎通の大切さを痛感しており、常に良好なコミュニケーションが図れる職場となるよう日々努力しています」(西林代表)
取材の帰り間際に、「誠実」「責任」と、力強い筆づかいで書かれた創業者・西林正氏の書が目に止まりました。誠実に、責任感をもって、業務を遂行してきた初代の想いは、引き継がれています。
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profile

丸正建材工業 株式会社(大分支部会員)
代表取締役  西林 広貴 氏
大分県大分市原新町15番36号
※地図
tel.097-578-7528