●夏の恒例イベントは東北へ大遠征

毎年夏は日本百名山に挑戦しています。昨年の北海道に続き、今年は東北地方にある蔵王山、早池峰山、岩手山、八幡平、八甲田山、岩木山の6つの山に登りました。登山仲間14人と一緒に、レンターカーで東北自動車道に乗って9日間、山形、岩手、秋田、青森の4県にまたがる大遠征でした。

仕事の関係で全国の代表者会議などに出ると、九州圏の代表が議論の口火を切り、激論の末、結局あまり多くを発言しなかった東北圏の代表の意見が採用されるといった場面がよくありました。1年の半分近くを雪に閉ざされているので考え深い人々が育っているのだと一目置いていました。それに宮沢賢治も石川啄木も太宰治も藤沢周平も東北の人ですから。

●東北の人たちから大歓迎

東北圏は統計データで見る限り人口の減少、高齢化、若者の県外流出等々全国の状況と大差ありません。ただ農業人口は若干多く15.6%。米の生産量は全国の30%を占めています。畑よりも田んぼが多く、青々と手入れされ休耕田はあまり目につきませんでした。また食品製造業が占める割合も高く、津軽平野にそびえる岩木山の裾野には林檎畑が広がり、青森空港の土産物売り場はりんご加工商品で溢れていました。

宿泊は、冬はスキー客を、夏は登山客を相手にする山宿でした。夏場はお客が少ないのか、遠く大分県からのお客だったからか、どこも玄関から飛び出すようにして迎えてくれました。早池峰山の麓の宿は「遠野物語」に出て来る村に近く、座敷童が出そうな古い宿でしたが、ご主人が山の事や土地で採れた野菜や魚の料理を丁寧に説明してくれました。どの宿の人も人なつっこく穏やかな口調で話しかけてきます。ただ、山奥に行くほど大分弁との会話はむつかしくなります。

●旅先で感じる生活者の営み

山に登っていると、山から幾筋もの川が始まり流域を広げ、そこに人々が暮らし、その土地の産業や文化が生まれるといった自然の営みが実感できます。今回登ったどの山の頂上にも土地の人が守って来た神社や祠がありました。

東北最後の夜は弘前ねぷたを見ることができました。勇壮な夏祭りを想像していましたが、町内会を中心に子どもも交えて、「ヤーヤドー」のかけ声で、扇型の山車がゆっくり街を練り歩き、夏を慈しむような静かなお祭りでした。

来年の夏休みは、少し南に下って飯豊朝日連峰の山々に登ろうと思っています。

profile

雪野佐喜子 
(ゆきの・さきこ)

大分県臼杵市出身 中小企業診断士。『ビジネス支援チーム7福人』代表。金融機関、中小企業に勤務の後、社団法人大分県地域経済情報センター、財団法人大分県産業創造機構で中小企業支援業務に従事。平成23年4月独立。中小企業診断士事務所『ビジネス支援チーム7福人』を開業。創業、経営革新、IT活用、施策活用などのコンサル活動を行っている。一般社団法人大分県中小企業診断士協会 副会長趣味はテニス、登山、飲酒、最近は短歌も。