私は事務所を大分駅前にある「シェアオフィス」に置いています。

シェアオフィスとは名前のとおりひとつの事務所を幾人かで共有して使う事です。最近ではコワーキング、ノマドカフェといわれているものもあります。

さて私の入居しているオフィスは事務所面積55㎡、ここに現在21社が入居しています。オフィスには広い机が8個、各自の郵便物受け、ロッカー、そして無料のwifi、なくてはならないコーヒー、各種新聞が置いてあります。入室は指紋認証。入居者は好きな時に来て好きな場所で仕事をします。みなさんの入居の動機は「創業したばかりなので経費を押さえたい」「大分に営業所を出したいが当面住所と電話だけあればいい」「パソコンと通信回線があれば仕事ができるので」などです。最近入居希望者が多く、ここのオーナーは大分市内にもう一室開設したほど。

ところで、このオフィスは県の創業支援施設の指定も受けていることから、創業者が多いのも特徴。何よりも事務所開設費等の開業資金が軽くなる事がありがたい。私もこのオフィスのことを知らなかったら開業に踏み切れなかったと思う。

国は今、「開業率が廃業率を上回るとともに、中長期的には米英並みの水準に引き上げることを目指す」(2013中小企業白書)として、起業・創業者に向けて補助金、資金調達等など多くの支援策を展開しています。私も最近はこの施策活用のお手伝いをさせていただく事が多くなっています。また大分県でも指定創業支援施設入居者を対象に補助金を出しています。補助金は少額ですが、創業プランを整理し、有識者にプレゼンしてアドバイスを受けることは、自分だけの世界に閉じこもりがちな創業者にとって、次のステップを踏みだす良い機会だと思います。

このオフィスのもうひとつの特徴は、IM(インキュベーションマネージャー)の常駐です。IMとはベンチャー企業育成の専門家で国の認定資格です。IMは入居者の求めに応じて、自分自身の経営に対する知見や人的ネットワークを通じて、ビジネスの基本から販路開拓などさまざまなアドバイスを行います。また入居企業やOB(成功して退去した方)、今後創業を考えている人たちも参加して、勉強会やプレゼン・名刺交換会などもやっています。

創業の壁のひとつは孤独との戦いです。ここは同じ志を持つ者同士が励まし合い、知恵や勇気をもらう場でもあります。創業者同士の小さなビジネスも生まれ、提案・見積もりから契約、納品、請求など取引の実践を学ぶ場でもあります。年長組の私ですがコンサルタントして謙虚に学ぶ事もたくさんあります。みんなさん成功して欲しいと心から願っています。

このようなオフィスは大分、別府市内にいくつかあります。入居料は用途に応じて月額10,000円から。社長室の居心地が悪い方や、そもそも社長室など持っていない方も入居してみませんか。1人で考え事をしたり読書をしたり、交流会に参加したりしてご自分に新しい風を少しだけ入れてみるのも良いのでは。未来のスティーブ・ジョブズや稲盛和夫に会えるかも知れません。

大分県の指定創業支援施設及び入居者への支援策を探す場合は、以下のサイトでご確認を。

■大分県創業支援施設(大分県のホームページ)

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雪野佐喜子 
(ゆきの・さきこ)

大分県臼杵市出身 中小企業診断士。『ビジネス支援チーム7福人』代表。金融機関、中小企業に勤務の後、社団法人大分県地域経済情報センター、財団法人大分県産業創造機構で中小企業支援業務に従事。平成23年4月独立。中小企業診断士事務所『ビジネス支援チーム7福人』を開業。創業、経営革新、IT活用、施策活用などのコンサル活動を行っている。一般社団法人大分県中小企業診断士協会 副会長趣味はテニス、登山、飲酒、最近は短歌も。