※「第6回  「黒船来襲」の顛末 その1」より続き
おおいた「駅ビル vs まちなか」 の一部始終? その2

「その1」を掲載させてもらってから早や半年。大変ご無沙汰し、失礼致しました。
この間に世の中もまた目まぐるしく移り変わったところでありますが、引き続き街の歴史を振り返って「その2」を綴らせていただきます。

社会における基幹産業の変化やモータリゼーション社会への傾斜に伴い郊外型大型商業施設に客足が奪われ大分市中心商店街の抗いがたい空洞化が進む中、大分駅高架化事業に伴いJR九州が仕掛ける新たな駅ビル商業施設の計画が着々と進行していた。
その計画の内容は、少しずつは商店街関係者の耳にも届くようにはなったが、全容ははっきりとせず街はまさしく戦々恐々、「黒船が来る!」 の趣であったのは間違いない。

計画が進むにつれて、JR側からの説明会というか意見交換会が2010年くらいから数度開催された。今思えば笑い話になるけど、当時は商店街側に説明するJR側の若い担当スタッフに対し、全員が異様に警戒心を抱いているのを手に取るように感じた。当時人気だったNHKのテレビドラマ「ハゲタカ」に出てくる買収側の刺客のようにまで見えた。しかし数年後、なにかの懇親会で一緒に飲んだら、ただの感じのいい爽やかなおニイちゃんだったとわかってしまった(笑)。やはりものすごい先入観が蔓延ってたのだ。

その話し合いの中では、商店街側も結構言いたい放題だった。
「テナントの構成は、商店街にあるジャンルの店を外して欲しい」というような要望も出た。さすがにそんなレベルのこと言ってちゃ端から白旗揚げるようなものだし、駅側も出す店無くなるじゃん、と正直ガッカリもしたものだ。街として大事なことは、相手に逃げ道を作ってもらうことではなく、先ずはきちんと対峙すること、怯まないことだと思っていた。

そして話し合いを続ける中で、商店街側の先頭に立って未来に向けて駅側としっかり交渉してくれたのが竹町商店街理事の園田孝吉さん(♪おやすみからおはよ~ の歌でお馴染みの園田ふとん店会長)と、当時大分県商店街連合会会長だった矢野利幸さん(ヤノメガネ専務)のおふたりだった。大分を代表する老舗のこのおふたりの頑張り無くして、今の大分市の中心街は語れないと思っている。
それまでとにかく街にとっての脅威と受け止めていた駅ビルに対し、「大分市中心部の仲間として、同じ方向を向いて一緒に街の活性化に取り組みましょう」と強く働きかけてくださったのである。そして駅ビル側も賛同してくれ、かくして中心商店街と駅ビルは中心市街地の面としての発展を共に目指す同士として歩みを共に始めた。トキハ本店・フォーラス(現OPA)の大型店と中心部5商店街で構成する「おおいた都心まちづくり委員会」という組織に加盟し、街全体の販促に共に取り組む態勢が整ったのである。

しかし、そもそも駅ビル自体も、しっかりと大分の街を見据えていた。
どんなに駅ビルの存在が大きかったとしても、駅ビル単体で簡単に成功を勝ち得るほど甘い時代ではないと考えていたのだ。大分市中心部は駅と商店街が隣接している九州管内でも珍しい位置関係で、駅ビルとしてもその大分の街の特異性を活かして、商店街と一緒に連携して「面」として街への来訪者のパイを増やすことが極めて大事だと認識していたのである。

そしていよいよ駅ビル「アミュプラザおおいた」がオープンに向けてカウントダウンを始めたとき、街との融合を図る、想像を超える緻密な取り組みについて私は驚かされることとなった。
(「第7回 「黒船来襲」の顛末 閑話」へつづく)

※写真は2008年5月の旧大分駅前の様子(Wikipediaより)

profile

児玉けんめい
本名・児玉憲明(こだま・のりあき)。大分雄城台高校から中央大学法学部卒業後、生命保険会社に内勤総合職として入社。15年の転勤族生活後、1999年に家業承継のため大分に帰る。現在サイクルショップコダマ代表取締役。 サンサン通り商店街振興組合理事長、大型店と商店街とで大分市中心街の販促に取り組む「おおいた都心まちづくり委員会」企画委員長 として街の賑わいづくりに奔走。 ガレリア竹町ドームでの『こたつdeポン!』『令和カウントダウンイベント』などの企画立案。
【出演中メディア】
OBSテレビ『おはようナイスキャッチ』レギュラーコメンテーター
OBSラジオ『当たって砕けろ!名人と助手のとことんまち歩き』レギュラー
OBSラジオ『オギデン』レギュラー
■サイクルショップコダマ(大分支部会員企業)
[府内本店]
大分県大分市府内町1丁目6−19サンサン通り ※地図
営業時間:10:00~19:00 毎週水曜日定休
tel:097-536-1510
https://cs-kodama.com
[全店舗一覧]
https://cs-kodama.com/shops