全国のご当地や企業のキャラクターが人気を競う「ゆるキャラグランプリ」が、3年ぶりに復活するというニュースが飛び込んできました。
東日本大震災が発生した2011年、ゆるキャラで地域・会社・日本を元気にすべくイベントがスタートしましたが、2020年には役割を終えたということで終了しました。

しかしその直後、コロナという未曾有の災厄により、全国の観光産業は大きな損害を受けました。地域PRを担うゆるキャラも活動が制限される中、再びキャラクターで日本を盛り上げようと復活するようです。
しかもアフターコロナ時代に合わせ、今まで通りのリアルイベントとメタバース上でのハイブリッド開催!
イベント名も「ゆるキャラグランプリ改め、ゆるバース」!!
もともと全国の自治体同士がつながっているイベントだけに、メタバースの活用で地域のDX化の促進にもなりそうですね。

さて、前置きが長くなりましたが、第3回は建造物・タワーモチーフのキャラクターについて書きたいと思います。
モチーフの基本として、その地域の「特産品」や「歴史的建造物」などが挙げられます。そこに動物など可愛らしさをプラスすることで、誰からも愛されるキャラクターが誕生します。

全国に存在するタワーキャラといえば、有名なのは東京タワーの「ノッポン兄弟」でしょうか。
1998年、開業40周年を記念して誕生した双子の兄弟(永遠の10歳)。
東京タワーと比べるとまるで魚肉ソーセージのようですが、そのピンクで細長いという共通点から、2018年からは「岩下の新生姜」(激似!)の親善大使も務めているようです。
ちなみにノッポン兄弟には、もっと東京タワーに寄せたキャラクター「タワオ」という仲間もいます。

同じ電波塔のライバルである東京スカイツリーにも、「ソラカラちゃん」というキャラクターがいます。こちらは「“空から”東京スカイツリーに舞い降りた、星の形の頭をした女の子」という設定。唯一青いワンピースが、東京スカイツリーの塔身をイメージしているようです。

同じタワーの擬人化という点では、別府市のランドマーク・別府タワーに在籍していた、かつてのキャラクター「別府三太郎」は外せません!
アンテナを寝癖に、今はなきネオン広告を赤いネクタイに、鉄骨をジャケットに見立てた、完全擬人化のおじさんキャラで、タワーと同じ1957年生まれの御年66歳。ちゃんと着ぐるみで表現していました。

そんな別府タワーですが、実は東京タワーと兄弟だということはご存知ですか?
彼らの生みの親は、「耐震構造の父」とも呼ばれる建築構造学者の内藤多仲(たちゅう)氏。日本各地の鉄塔を次々と設計した、通称「塔博士」です。
この塔博士が1950年代〜1960年代にかけて設計したのが全部で6基。
竣工順に並べると、名古屋テレビ塔(現・中部電力MIRAI TOWER)、大阪の通天閣(2代目)、別府タワー、さっぽろテレビ塔、東京タワー、福岡の博多ポートタワー。これらを総称して「タワー六兄弟」と呼びます。
ちなみに別府タワーが3番目に建てられた“三男坊”ということで、別府三太郎の名前が三太郎になったそうです。
六兄弟にはそれぞれキャラクターがいますが、通天閣はビリケンさんだったり、さっぽろテレビ塔は、なぜか非公認キャラの「テレビ父さん」の方が有名だったりと、なかなか個性的。

メイン写真は我が家のコレクション。右からソラカラちゃん、タワオ、ノッポン弟、そして六兄弟ではない京都タワーの「たわわちゃん」。
やっぱタワーは擬人化しやすい!

profile

相原 利衣子
あいはら・りえこ:宮崎県都城市出身。大分市在住。株式会社Oulu(オウル)編集者、プロデューサー。大分の出版社で22年雑誌制作に携わり、2021年に編集プロダクション「Oulu」を設立。webメディアや新聞、パンフレットなどの紙媒体から、パッケージやグッズなどのプロダクトデザイン、ラジオ構成作家まで、「丸投げ、よろんで」の精神で活動中。趣味は飲酒、飲食全般で、初対面の人とも陽気に酒を酌み交わせるのが特技です。