※メイン画像は、由布市の「ゆーふー」と、千葉県の「チーバくん」。一応横向きで撮影してみましたが、座るとさすがに地図感が…

地方自治体がゆるキャラをデザインする場合、県木や県花、県鳥、地名や独特の方言など、“地域の象徴”をモチーフにするのは、割と正統派のスタイルだと言えます。

例えば、大分県の応援団“鳥”「めじろん」は、県鳥であるメジロがモチーフ。
vol.6で紹介した福島県本宮市のイメージキャラクター「まゆみちゃん」は、県木である檀(まゆみ)の実がモチーフになっています。

そんな地域の象徴系キャラの中でも、サイズ的にも一番ダイナミックなのが、地域の形態を表す地図モチーフです。
有名なところだと、千葉県の「チーバくん」がいます。チーバくんを横から見ると千葉県の形をしています。地図で確認すると、ちょうど野田市の辺りが鼻で、ペロリと出た可愛い舌は、東京ディズニーランドを含む浦安市が担当しています。
初めて見た時、「なるほど、よう気づいたな!」と思わず唸ってしまいましたが、それもそのはず。生みの親は、JR東日本のSuikaのペンギンなどをデザインされている、絵本作家でイラストレーターの坂崎千春さんでした。

実は大分にも、地図モチーフのキャクターがいます。
由布市の宣伝部長「ゆーふー」です。
頭が由布市の地形で、さらに口の形は「YUFU」のYになっています。地図とゆーふーを見比べると、たぶん右目がJR湯平駅辺りだと推測されます。

以前ゆーふーに会いに行った時、市役所の担当部署にはゆーふーサイズの広島東洋カープの巨大ユニフォームが飾ってありました。背中には「YUFU」の名前と、由布岳の標高「1584」の背番号が。
由布市は、広島東洋カープの選手たちがリハビリキャンプに訪れる地で、今年も11月に9選手が参加しています。そんなつながりから、ゆーふーは今年も広島のマツダスタジアムまで、佐伯市と大分県と共同でPRに訪れています。その時に着るのが、この巨大ユニフォームです。
“由布市の顔”として、市のアピールもバッチリのようです。

ほかにも地図モチーフで、大阪市公式キャラクター「おぶちゃん」がいます。
こちらは大阪市の地図がモチーフということですが…ちょっと難易度高め? 逆に、「この地図の形でよく思いついたな」と感心します。
頭に市花のクチナシを飾るという天丼スタイルですが、大阪市のサイトを見たら、めっちゃグッズが売られていました。めっちゃ人気者のようです。

これまでは県や市など単体でしたが、市町村合併スタイルの最強キャラクターを発見しました!
奈良県橿原市、高市郡高取町、明日香村で構成する、飛鳥地方広域行政事務組合のキャラクター「あたかちゃん」です。
まず名前ですが、明日香村の「あ」、高取町の「た」、橿原市の「か」と、3市町村の頭文字から取っています。そして不思議なフォルムは、同じく3市町村をくっつけた地図の形。
「いくらなんでも無理があるだろ!」と地図で確認したところ……これがなかなか忠実でして。
まさに「3つ合わせて飛鳥地方!」。そのクオリティーに脱帽です。

地図モチーフのキャラクターは、見慣れている地元の人にとっては愛着が湧きやすく、外の人には地理を覚えてもらいやすいという効果がありそうです。
キャラクター化計画のある自治体の皆さま、おすすめですよ!

地形つながりで、大分市の「たかもん」は高崎山がモチーフです。同じ山キャラだと、玖珠町教育委員会のマスコットキャラクター「くるりん」のモチーフは、町のシンボルである伐株山。さらに町出身の童話作家・久留島武彦テイストをプラスした、山+おじいさんのハイブリッドスタイルです

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相原 利衣子
あいはら・りえこ:宮崎県都城市出身。大分市在住。株式会社Oulu(オウル)編集者、プロデューサー。大分の出版社で22年雑誌制作に携わり、2021年に編集プロダクション「Oulu」を設立。webメディアや新聞、パンフレットなどの紙媒体から、パッケージやグッズなどのプロダクトデザイン、ラジオ構成作家まで、「丸投げ、よろんで」の精神で活動中。趣味は飲酒、飲食全般で、初対面の人とも陽気に酒を酌み交わせるのが特技です。