みらいしんきんでは2020年より、公益財団法人日本財団の「わがまち基金」を活用して地域の中小企業などをサポートする「みらいお宝発掘プロジェクトを展開しています。同プロジェクトは、専門家が事業者の顕在的・潜在的な強みを見える化・言語化し、新たなビジネス構想の掘り起こしをサポートする事業です。さらに構想を実現するためのビジネスプラン策定事業化まで、一貫した支援 (金融支援、補助金申請支援、専門家派遣支援など)を行っています。
2023年5月26日(金)には、プロジェクト第2期に参加した事業者5社が登壇する「第2回みらいお宝発表会」が本店・みらいホールで開催されました。事業者のアクションプラン発表やアドバイザーとの意見交換などが行われた当日の模様をリポートします。

#01  有限会社 東栄工業所(中津市)
モノづくり企業としてさらなる飛躍を目指す
[登壇者]
有限会社 東栄工業所 代表取締役 児島 靖正氏(中津北央支部会員)

[COMPANY PROFILE]

製造や物流の現場において、荷役作業の省力化や効率化に欠かせないマテリアルハンドリング機器。その中核を担っているのが、コンピューターによる自動制御で荷物を立体的に整理・保管する立体自動倉庫です。同社は立体自動倉庫で荷物を格納するラック(棚)に注力する日本でも数少ない企業であり、ラックの製造から販売、現場での取付工事までを一貫して展開(設計は協力会社に依頼)。「職人の技術力や製品の美しい仕上がりなどが高く評価されている」と児島代表は話します。
URL https://www.toei-kogyosho.co.jp
[顧客提供価値]
同社の強みは「人材」をベースとした高い品質を実現している点。マネジメント・ラボ・ブリーズの及川朗代表をはじめ専門家と同社の強みを「見える化」した際も、意欲的な社員や多様な協力者の力などによって実現する「製品の美しさ」「均一でバラつきの少ない品質」「信頼を勝ち得る対応力」「コスト競争力」が顧客から選ばれる要因として挙げられました。そのうえで「工事計画を大船に乗ったつもりで安心して進められる」「エンドユーザーに褒められるような自動倉庫システムを自信を持って届けられる」といった点が顧客提供価値であると評価されました。

[アクションプラン]
従来のラック製造強化に加え、3つのアクションプランを設定しました。
①スタッカークレーン(ラック間を行き来して荷役作業を行うクレーン)の製造
②ラック設計業務の内製化および高品質化に挑戦
③人材育成に向けて改善活動のさらなる強化
これらのプランを実現させるため、モノづくりレベルや設計レベルの高い人材の採用・育成、従業員主体による会議の活性化などに取り組みたいとの抱負を語り、アドバイザーに意見を求めました。

[アドバイザーからの意見 01]
アクションプラン①②ともに、知識・技能レベルが高い専門人材の採用や育成が大きな鍵となるが、現在はどの業界でも人手不足の状況が続いている。一方で、副業・兼業をはじめとした多様な働き方が一般的になりつつあり、副業・兼業人材を活用している企業が良い方向に進んでいる例もある。副業・兼業人材の受け入れを支援する補助金制度もあるので、人材獲得の幅を広げるために、それらを活用するという手も考えられる。
大分県産業創造機構 経営支援課参事 大津美由紀氏)

[アドバイザーからの意見 02]
高い知識・技能レベルを有している中小企業経営者が、高齢のために事業を譲り渡したいというケースもある。その場合は事業承継という手が考えられる。全国規模のマッチングも可能なので大分県事業承継・引継ぎ支援センターなどの活用も検討してはどうか。
日本政策金融公庫 国民生活事業 別府支店長 坂井伸任氏)

[アドバイザーからの意見 03]
改善活動のさらなる強化については、全国規模で展開しているQCサークル活動(小集団改善運動)の発表会への参加を推奨する。ゴールを設定することで従業員の共通認識が生まれ、チームワークのさらなる向上が期待できる。
大分県信用保証協会 保証部次長 兼 創業・連携推進課長 図師好章氏)
 ※「みらいお宝発掘プロジェクト/第2回みらいお宝発表会 Report_02」へ続く

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みらいお宝発掘プロジェクト

公益財団法人日本財団「わがまち基金」を活用して、大分みらい信用金庫が展開する地域の中小企業などをサポートするプロジェクト。専門家が事業者の顕在的・潜在的な強みを見える化・言語化し、新たなビジネス構想の掘り起こしをサポートする事業です。さらに、構想を実現するためのビジネスプラン策定事業化まで、一貫した支援 (金融支援、補助金申請支援、専門家派遣支援など)を行います。