私めが大学の軒先を借りて学生とプログラミング教室を開いてもう十年が過ぎました。
当初の受講生は小学生が中心で学生の兄ちゃんたちとワイワイと楽しくやってました。今は中高生が中心で大人っぽくやっています(笑)。小学生から教室に通うとメチャ実力がつくので、また小学生にたくさん来てもらおうと思いたちました。リサーチしてから告知しよう、と思い、最新版の小学生向け学習参考書を眺めました。

驚きました、中味の充実ぶりに。

国語では万葉集の歌がいくつか紹介されています。
そこで、今回は同じ歌を取り上げた次第です。

【和歌のスタイルで表現してみた】

Usage #86
待てば海路の日和あり、の法則

街角で人を待ちをれば 人影すべてその人に見え心に風吹く

[元歌]
君待つと吾が恋ひをれば我が屋戸の すだれ動かし秋の風吹く 万1606
訳:貴方様がいらっしゃるのをまだかまだかとお待ちしていましたら、戸口のすだれがコトコトいうのでドキドキしました。そしたら、何のことはない、風でしたわ。

[解説]
作者は額田王(ぬかたのおおきみ ? – ?)。額田王は女性です。誰を待っているのでしょうか。中大兄皇子か、大海人皇子か。どちらか分かりませんが、待つときの心情は分かります。私は待つのが苦手でしたが、待つ時間というのは意外とお宝になるのかも知れません。額田王は歌を作りましたし。

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Usage #87
いつもと違うと感じたら原因を推理するとよき、の法則

夕されば家の近所で鳴くカラス 今日は鳴かずどこで何してる

[元歌]
夕されば小倉の山に鳴く鹿は 今夜は鳴かずい寝にけらしも 万1511
訳:夕方になると小倉山で妻を求めて鳴く雄鹿が今夜は静かにしている、ふてくされて寝たのかな。

[解説]
作者は舒明天皇(じょめいてんのう 593 – 641)。いつも夕方になると鳴く鹿が今夜は静かだ、その理由を寝たことにした舒明天皇。明るくて器量が大きい人物、というイメージの人物です。ちなみに中大兄皇子と大海人皇子は息子ちゃん。共に超絶、戦略的な頭脳と行動力を備えたビジョナリー。この歌では鹿は鳴き声で登場していますが、場合によっては狩の対象だったりします。人と鹿、面白い距離感です。

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Usage #88
季節の移ろいに気づく感覚を大事に、の法則

消波ブロックの間の雑草の緑いろ 萌え出づる春になりにけるかも

[元歌]
石ばしる垂水の上のさ蕨の 萌え出づる春になりにけるかも 万1418
訳:川の流れが石に当たりしぶきを上げる。その近くで蕨が萌え出ている。春になったのだ。

[解説]
作者は志貴皇子(しきのみこ 668 – 716)。この人は舒明天皇の孫、中大兄皇子の息子。祖父からは大らかさを、父からは俯瞰力を受け継いだ人物。Wikipediaには「今日の皇室は、志貴皇子の男系子孫にあたる」とあります。この歌の場面はまだ寒い時期、水の音も賑やかな川か滝。その脇を見やると蕨が顔を出しています。おやおや、ここに春が来ているぞ、という優しい歌。

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Usage #89
煮詰まったら、外に出て遠くの山を眺めよう、の法則

田ノ浦にうち出でて見れば真白にそ 由布の高嶺に雪は降りける

[元歌]
田子の浦ゆうち出でて見れば真白にそ 不尽の高嶺に雪は降りける 万318
訳:田子の浦に出て見ると富士山に雪が白く積もっているのが見える。

[解説]
作者は山部赤人(やまべ の あかひと ? – 736)。この歌は百人一首の4番歌、みんな大好き超メジャーな作品。先日、飛行機によく乗る人が、富士山が見える側の席から先に予約が埋まるんだよね、と言ってました。良いですね、富士山。大分には由布岳、田ノ浦があります。田子の浦ならぬ田ノ浦から由布岳が見えるというイメージで詠んでみたのですが、実際は見えないかも知れません。高崎山があるし。でも田ノ浦は、ちょっと車を停めて砂浜に出て波の音を聞きながら空や遠くを眺められる良き場所であるのは確か。

profile

安部 博文
あべ・ひろふみ:1953年、大分市生まれ。大分大学教育学部物理学科卒業、師匠は田村洋彦先生(作曲家)。由布院温泉亀の井別荘天井桟敷レジデント弾き語リスト(自称)。大分大学で第1号の経済学博士、指導教員は薄上二郎先生(現青山学院大学経営学部教授)。国立大学法人電気通信大学客員教授。電通大認定ベンチャーNPO法人uecサポート理事長。
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