
【和歌のスタイルで表現してみた】
■Usage #110
今になって悔やむ気持ち
[元歌]
水鳥の立ちの急ぎに父母に 物言ず来にて今ぞ悔しき 万4337
▼水鳥が飛び立つように慌ただしく出発して、父母に挨拶しなかったのが今になって悔やまれる。
[解説]
作者は有度部牛麻呂(うとべ の うしまろ ? – ?)。駿河国の出身。招集から出発までそんなに短いの?と言いたくなるほど、急な話だったのだろう。日常からいきなり非日常に放り込まれ、なんだかんだの後でやっと一息ついたとき、「そういえば」と気づく様子が伝わってくる。今だと「窓を閉めたっけ」「ガスの元を締めたっけ」あたりかな(笑)。
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■Usage #111
立場は違えど幸いを祈る
[元歌]
今替る新防人が船出する 海原の上に波なきさそね 万4335
▼今、交代のために新しい防人たちが船出するところだ。海路が穏やかであるよう祈る。
[解説]
作者は大伴家持。防人を見る家持の心根が伝わる。つまり「仕事だから防人を招集して筑紫に送っている、それだけのこと」的ではなく、タレントを大事にするマネージャーのような姿勢を感じる。組織の仕事は人の顔が見えにくくなりがち。でも755年の防人を送り出すプロジェクトでは家持はとても人間だった。
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■Usage #112
悪い人はここにも
[元歌]
ふたほがみ悪しけ人なりあたゆまひ 我がする時に防人にさす 万4382
▼ふたほがみは、性根が悪い村長だ。急病で苦しんでいる私に防人に行けと命じたのだから。
[解説]
作者は大伴部広成(おおともべ の ひろなり ? – ?)下野国那須郡の出身。ふたほがみと広成はコミュニケーションがうまくいってない、と分かる歌。だからといって広成が言うように、ふたほがみは悪しき人だったのか? それは分からん。それは放っておくとして、広成は、上の句でポイントを主張し下の句で理由を説明している。主張+理由の型を使うと説得力があるなーと勉強になります。
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■Usage #113
父親⇒息子への心
[元歌]
家にして恋ひつつあらずは 汝が佩ける太刀になりても斎ひてしかも 万4347
▼家にいて心配するより、息子の太刀になって一緒にいてやりたい。
[解説]
作者はこの次の歌の作者、日下部三中の父 (くさかべ の みなかがちち ? – ?)。息子を思う父親の気持ちの歌。なのだが、息子のほうはと言えば、またちょっと違うのだなあ(笑)。次の歌でお確かめください。
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■Usage #114
息子⇒母親の心
[元歌]
たらちねの母を別れてまこと我れ 旅の仮廬に安く寝むかも 万4348
▼母親と別れてしまう私が旅先で安眠できるのか心配です。
[解説]
作者は日下部三中(くさかべ の みなか ? – ?)。上総国の出身。前の歌の答えがこれ。息子のほうは父親ではなく母親を詠っているのでした。父の気持ちはどこへやら 、やれやれ(笑)。
