本コラム第6回では、ライター竹林がいつも行なっている作業時の注意点を紹介しました。
実際に手を動かし始めると、省いてしまいたくなる工程ばかり…。ですが、後に修正をなるべく出さないようにするには、公開前に見直すタイミングを自分であらかじめ作っておくことが大事です。

そして今回は…文章をスムーズに書くための設計図も事前に準備しておきましょう!というお話。
この工程も、有ると無いでは時間的・作業的に大きな差が生じます。

ここでオススメしたいツールが“マインドマップ”です!

■マインドマップを使ってみましょう!
近年、業務の効率化やアイデア、知識を体系的に“見える化”するツールとして、マインドマップを使う企業が増えています。一度は使ったことがあるという人も多いのでは?
ただ、「円滑な仕事を実現するために使う」だけではもったいないですよ。

自分の書きたいことを、頭の中から思うままに文章化するよりも、あらかじめ書くことを決め打ちし、読み手の流れを想像しながらマインドマップに落とし込めば、スムーズに書きたい文章を書くことができるのです。

■文章設計1:大事なのはターゲティング
商品開発や広報活動をする際、”誰にむけてアピールするか”が大事、ですよね。これはまさに、ターゲットを決めるという第一段階。マーケティングをして、どんな人にどうやってアピールするのか…を考える軸となる部分です。

「全年齢・老弱男女、万人が満足するような商品はない!」のと同じように、読んで誰もが歓喜湧き立つような文章なんて、正直ありません。
特定の“誰かを喜ばせる・ためになる文章を書くためには、やはりターゲティングが必要です。
マインドマップの第一階層(真ん中)にターゲットを決め、ターゲットが求めている&紹介したい事柄を箇条書きして、内容を紐づけしていきます。

■文章設計2:“思考”を想像しながらマップを作る
業務効率化のために使用するマインドマップは、「目的」「(営業)行動」「手法」に大別されます。
目的のために、どんな手法があって、どう行動するのか、ですね。考えと行動という、頭と体の動きを別々に想像するので、割とスムーズにマップを完成させられます。

ただ、文章作成のたたき台となるマインドマップは、「目的」と「思考」が主です。両方ともあくまで想像(狙った人物像と望ましい行動)にすぎません。
マインドマップを上手く使えない、使ってみたけれど完成させられない人も割と多いようですが、実はここに原因があるのではと感じています。

■内容が広がり過ぎたら冷静に分割を
ターゲットだけが決まっている段階でマインドマップを作成すると、そのターゲットが何を考え、どうしたいのかという想像がどんどん膨らみます。

たとえば、老舗刃物店が「スパスパ切れる! 専属職人手作りの希少な包丁を販売する告知」の文章を作成するとして、ターゲットとなるのは「切れない包丁を持っている人」でしょう。
その不満や問題を妄想して「魚もおろしたいのに」「キャベツの千切りが全部つながってる」「100均で買ったから?」「でも高い包丁が切れるとも限らないんじゃない?」と脳内で湧いて、挙句に「包丁を使わない料理をすれば」「スライサーがあればいいじゃん」「切れなくなれば捨てればいい」…と、当初の起点からはびっくりするほど、かけ離れた想像に行きついてしまうものなのです。
すると、「考えが散らかり過ぎてマップにまとまらない!」となってしまいます。

そんな時は、第6回の文章校正の話にも出た「一晩置いて冷静に見直し」をやってみましょう。
もし、想像が行き過ぎてマップがまとまらない場合は、複数のマインドマップに分ければ、文章設計案が増えますし、アイデア出しもムダになりません。

■文章設計3:読み手の思考を紐づけしてたどる
文章を体系的にまとまりよく見せるために、第5回で「見出しをつけて読みたい部分を視覚的にわかりやすくするといい」という話をしました。
ピンポイントで伝えたい結論が決まっているときには、読み手が考えそうな思考回路をケツから追っていく感じで書き出していきましょう。

先ほどの刃物店告知の例と同じく、問題解決の結論から読み手の思考を逆追いしてみます。

「良質な包丁を今欲しい人にぴったりの商品あるよ!」と告知する
⇐「うちの職人、こんな良い包丁作り(仕事し)ます」を紹介
⇐「包丁の良し悪しを決めるポイントはここです」と教えてあげる
⇐ターゲットは「何を基準に包丁を選べばいいかわからない」
⇐「今使っている包丁はテキトーに選んだけど(すぐに切れなくなった)」
⇐「トマトがスパっと切れない我が家の包丁、そろそろ買い換えたい」=ペルソナ
※矢印の方向に注意

あくまで私の主観で思考を逆追いしたものですが、この流れであれば、ターゲット(切れない包丁にイライラしている人)に良質で、なおかつ付加価値がある(希少な職人商品)ことをテンポよく説明できそうです。

そして、お気づきでしょうか。書き出した「」の部分を、逆の順で見出しに設定すると、文章の段落構成と文章の並びが一度に決まります。

【今回の脳内開放の法則】
マインドマップでざっくり内容を固めておくと、
スムーズに読める文章が作りやすいよ

おおよその流れをマインドマップ内に箇条書きすれば、あとは順をおって文章を肉付けしていくだけ。
内容にブレがなくなり、書きたいことをキチンと網羅しつつ、流れがいい文章になる(はず)です。

ただ、「マインドマップ作り」が目的ではないので、文章のアウトラインを作成するくらいの気持ちで取り組むといいですね。

そして次回は…
『第8回 Webライティングの基本3:文章を書くにはいろんな”使い分け”が必要です!』
乞うご期待。

profile

竹林みか
たけばやし・みか:大分県宇佐市生まれ。
ネコがいて甘いものがあれば、ある程度の苦境を乗り越えられる“主に主婦。ライターとして仕事を請けつつ、家の中では家事最優先。スキマ時間でデスクに向かい、モニターを睨みながら鬼の形相でキーボードを叩く。原稿の構成に多くの時間を費やし、納期ギリギリまで文章をこねくり回して自分を追い詰めるタイプ。
常に最高と最低の状態を想像して、メンタルの疲弊をブロックする習性がある。想像力&妄想癖強め。女性起業家プロジェクトIGCメンバーに加入し、ライター業ほかさまざまな活動を通じて事業経営のカタチを日々勉強中。
関東圏Web制作会社の依頼で執筆を重ね、現在は県内お取引が中心。「人の縁・かかわり」を育みながら、出前講座やフリーランスの働き方を語る講話の依頼をこなす。
平成29年よりスタートした「大分県在宅ワーカー(現:テレワーカー)養成講座」内ライティングコース講師を5期に渡り担当している。
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■女性起業家プロジェクト「iGC」プロフィール
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